医院のコンセプト
2010/06/16 コラム by nagaya
ホームページの医院紹介をご覧になった方は、ちょっと変わった院内の雰囲気に驚かれた方がいるかもしれません。
歯医者といえば、清潔感を表す白を基調とした院内を連想されると思います。治療時に水や空気を用いるので、配管を這わせるために床を底上げする必要があります。患者さんが診療されている間は天井を見上げる姿勢となるため、白い天井が逆に圧迫感として感じられる方もいらっしゃると思います。私自身、身長が180cm弱ありますので、こうした圧迫感はよく感じるところです。
幸運にも、開業場所として選んだテナントは天井高が取れましたので、これを生かせないかと考えました。近未来的なギーガー風金属質の内装や、70年代のポップカルチャー風内装など頭を悩ませましたが、最終的に参考になったのはラスベガスのモールでした。巨大な室内に町を形づくり、閉鎖空間にローマやニューヨークの町並みを再現する手法です。さすがにその規模を再現するには無理があるため、砂漠の町つながりで、ニューメキシコ州サンタフェの写真を参考にし、街角や裏庭で診療を受けているような内装に決定しました。本来なら、建築家やデザイナーに企画をお願いすべきところですが、何でも自分でやりたい性格のため、昔からつきあいのある内装業者、家内、私の3人で、思考誤差をしながらなんとかこのコンセプトを完成しました。パーティションや作業台・幅木のアクセントも、手作り感のあふれる仕上げにしてもらいました。逆にそんな手法が、砂漠の町の、のどかで暖かな雰囲気として出せたのではないかと思っています。